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1. 古典力学のプロローグ

 さぁ、物理で一番最初に出会う『古典力学』の勉強を始めよう!力学とは、物体に力を加えたとき、その物体はどのように運動するかを予測する学問だよ。さて、名前の最初に『古典』ってつく理由はなんだろう?あえて、古典ってつけないといけなくなったからなんだよね。つまり、現代では従来からあった古典力学に加えて、量子力学だとか統計力学だとか、同じ力学でも最新分野が生まれたからなんだ。区別するために、『一番最初に生まれた力学』を『古典力学』って呼ぶんだね。

 古典って名前がつくわけだから、古臭い、最新科学が展開する現代においては学ぶ価値のないはるか昔の学問って印象を受けるかな?

                       否!

 実は古典力学は、物理学すべての分野の基礎になる考え方が含まれているんだよ。そういう意味で、古典力学は物理学全般において、非常に重要な位置を占めるんだ。しっかり学んでくれよな!



●力学って、なんだ?

 力学って名前を付けられたことからわかるように、『力』を扱う学問として、考えられたわけだね。例えば止まっている物体に、力が加わるとどうなるだろう?そう、物体は運動するわけだね!


 力学とは、物体に力が加わったときに、どのような法則に従って運動するか、法則を調べ、それを数式で表す学問なんだ。実は、力学の法則はたった3つしかないわけなんだ。その3つとはまさしくこれだ。この3つを理解すれば、古典力学はすべて理解できたに等しいんだよ。


 なかなか難しい単語がそろっているね。よくわからないと思うから、順を追って、指で玉を押すって過程を例にして、詳しく見ていこうか。

●作用・反作用の法則とは?



 まずは、作用・反作用の法則からだよ。玉を指で押す場合に当てはめてみよう。指で玉を押したとき、指が玉に接触している限り、玉には力が加わるってわけだね。このとき、よく考えてみよう。押している自分の指の先っぽが少しへこんでうっ血するはずだね。

 試しに身の回りにある、何か物体を押してみてくれよ。指先が少しへこんでうっ血することがわかるだろう?(このとき、少し重めのものを押すとわかりやすくてよいね)玉を押していないときは、当然だけど指はへこまなくて、玉を押したときだけ指がへこむってことは、玉に①力が働いているときは、同時に②指にも力が働くってことだね。①を作用、②を反作用って呼ぶよ。


 実は、この作用と反作用の大きさは、必ず向きが正反対で、大きさが同じになる性質を持っているんだ。これを、作用・反作用の法則って呼ぶよ。さてさて、時々指に働くのが作用で、玉に働くのが反作用とは言わないんですか?って質問する人がいるね。君はどちらの運動に注目したいかな?玉の運動に注目する今回のようなケースでは、玉に働く力を『作用』と呼び、そうでないほうを『反作用』と呼ぶよ。

●運動の法則!よく知られているF=maの式について。


 運動の法則とは、物体が力を受けたときに、どのように運動するかを表す法則だよ。物体が、Fという大きさの力を受けると、その質量分の1で加速するんだよ。これを運動の法則と呼ぶよ。式に表すと、F=maだね。


 玉を指で押す運動を考えようか。玉に指が触れる前は、玉に力が加わることは当然ないわけだけど、触れた瞬間に力が加わりはじめ(A)それと同時に玉は加速され始めるね。さらに指で押そうとするので力は強く加わり(B)加速度も大きくなっていくよ。ここにきてかなり加速された玉は力強く動き、指先から離れて(C)いくね。指先から離れきったら、玉に働く力はゼロになり、加速は終了するってわけだ。


●プロローグの最後に、慣性の法則について


 さあ、次が3つの法則の最後になるよ。人によっては、これが一番奇妙な法則に思えるかもしれないね。慣性の法則とは次のようなものをいうんだよ。


 これも、玉を指で押す運動で考えてみようか。指で押す前、玉は停止しているよね。(そりゃそうだ、当り前だ!)奇妙に思えるのは次の話だよ。指で押すことで玉は加速され、運動を開始するわけだけど、指を離れたあとはどうなるだろうか。試しに広い場所でビー玉を押してみるといいよね。何事も実験だ。そうすると、ビー玉はしばらく転がって止まってしまうだろう。動く物体は等速で動き続けるという慣性の法則に反するね。


 別に、不思議な話ではないんだよ。永遠に転がり続けるのは、『もし力が加わらなかったら』なんだ。逆に止まっているってことは、減速をする向きに力が加わったってことだね!もしも、減速の力が加わらなかったらどうなるのか?当然減速もされないわけだから、そのままの速度で動き続けるはずだよね。これは人類が滅びた後も、永遠に動き続けるはずだ。



 さあ3つの法則が出そろったね。これを理解すれば、力学は終わったに等しいよ。いやいや、これだけじゃ学校のテストで満点取れないじゃないかって思うかい?力学の本質は、この3つで終了したわけだけど、この法則を玉の動きには当てはめてみたけれど、色々な運動にまだ当てはめていないよね。さらに、数式によって表しきれていないんだよね。より数学的に扱うことで、運動を『完璧に』予想ができるようになるよ。さらに、この3つの法則から導き出される、エネルギー保存の法則や、運動量保存の法則を説明していないんだね。以下では古典力学を、より詳しく、『ダイナミック』に扱っていこう!


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