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1.1 速度と加速度

 さて、本格的に力学の勉強を始めよう!何から考えればよいかな。力が加わったとき、物体は運動をするんだね。運動をするとは、ある速度で物体が移動するってことであり、特に力が加わっている間は加速もするわけだ。力学を勉強するにあたり、まず速度や加速度をしっかり定義しておくことが重要になるね。
 速度ってのは、動くスピードのことだね。スピードの表し方には2種類あるんだ。

 ①と②の違いはわかるかい?①は『50m』と決められた『距離』を走るのにかかる時間で、スピードを表しているんだ。時間が短いほうが、スピードが速いってことがわかるね。(例:50m走のタイムが6秒の人のほうが9秒の人より速い)
 一方②は、決められた『時間』で走れる距離で、スピードを表しているんだ。時速150kmは、1時間で150km走れるってことだし、時速200kmは、1時間で200km走れるってことだね。こちらの表し方では、走れる距離が長いほど、スピードが速いってことがわかるね。
 実は、力学においての『速度』は②で表すよう決められているんだ。

 30分かけて2km歩いたということは、1時間かければ4km歩けるってことだよね。つまり、答えはこうだ。



 力がかかると、物体は加速するんだったね。加速するとは、どいういうことだろう?例えば、時速50kmで走っていた車が、時速60kmまで速度変化を起こしたとき、加速したっていうね。さて、ここでクイズ。どちらが『激しく』加速しただろう?

 加速の激しさのことを『加速度』と呼ぶよ。加速度は『どれだけの時間』かけて『どれだけの速度』が変化したかを表現する指標になるよ。






1.2 文字式を使って表してみよう!

 物理では、文字式を使って運動を表すよ。物理学の最終的に目指すところは、簡単な1つの式によって、すべての現象を表すところにあるんだね。まだ人類は、この世のすべての現象を表せる式を発見できてはいないけど、少しずつ近づいてはいるんだよ。そこに少しずつ近づいていくために、みんなも文字で現象を表すことに慣れていこう!

 例題と少し違うのは、隣の男の子基準で、位置を表していることだね。隣の男の子からみた自分の家の位置がx0で学校がx1としよう。また家を出発した時刻をt0として、学校についた時間をt1としよう。速度vはどのように表せばよいかな?

 例えば、x1が3kmでx2が1km、t1が2:30でt0が2:00として数字を代入してみよう!速度が4km/hと計算できることがわかるね。

 同様に、加速度も文字で表してみよう。

 文字で表したことによって、いかなる運動であっても、速度と加速度を簡単な式で表すことができたね。




1.3 マイナスの速度と加速度について

 もう少し議論を正確にしてみよう。そのために必要なのは『座標』の導入だよ。運動への座標の導入は力学全般に共通のアイデアだよ。

 一般的に、時間(時刻)は増えていくね。(時間は一様に経過する!)つまりt0<t1になるね。このとき、玉の位置がx0からx1に直線的に変化することを考えているんだね。今までの例題に置き換えると、原点が隣の家の男の子の位置、x0が自分の家の位置、x1が学校の位置だ。

 今考えている例のように、x軸正の向きに玉が動くとき、v(速度)は必然的に正になるね。

<x軸と逆向きの場合>

 逆向きの場合どうなるか?


 時間は一様に進む一方、位置がx軸と逆方向に変化したわけだね。このとき、x1のほうが小さくなるため、位置変化がマイナスになるよ。この結果、速度もマイナスになるわけだね。

 今までは、速度が一定であった場合を考えていたよね。だが、今回は違うよ。 t0のタイミングでx0の位置にv0の速度で動いていたとするね。このままいけば、1秒後にはx0+v0、2秒後にはx0+2v0、3秒後にはx0+3v0の位置まで進むわけだけど、今回は加速を行って、t1の時には速度がv1まで変化したって考えるわけだね。v0のままの時よりも、進む距離は時間とともに、どんどん長くなっていくよ。このような場合、加速度が定義できるわけだ。

 速度の定義式と形が似ているね。ただし、言っている意味はかなり違うよ。速度は時間変化したときの位置の変化を表しているわけだけど、加速度は、時間変化したときの、速度の変化を表しているね。もし、時間経過とともに速さが大きくなったら(今回の例の場合だ!)加速度は正になるね。

 直感的な話をしよう。加速度の式を見れば、時間とともに速さが増えれば、加速度は正で、物体は実際加速するし、時間とともに速さが減れば、加速度は負で、物体は減速すると考えられるね。

 この考え方を用いると、(1)減速であり、加速度は負と予想。(2)加速であり、加速度は正と予想。(3)減速であり、加速度は負と予想。実際の式を用いて、この予想が正しいか検証しよう。
 注意すべきは、x軸と逆向きに運動する場合、速度はマイナスになることだったね。

 x軸と逆向きに運動しているときは『予想に反して』速さ的には減速していても加速度が『正』になるし、速さ的には加速していても加速度が『負』になるね。果たしてどのようにとらえればよいのか。実は、単純な速さ変化だけでなく、物体を加速、減速するためにかかっている力がどちら向きかを考えると、直感的に理解しやすくなるよ。
 果たして、どんな感じなのか検証してみよう!(例題にない(0)も用意したよ!)力の向きと加速度の正負が対応していることがわかるよ!












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