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HUNTER×HUNTER(第34巻) クロロvsヒソカ戦を考察してみた

 みんな大好きな漫画「ハンター×ハンター」は展開を正確に追いかけるのが難しい。裏ハンター試験以降の念による戦闘が行われるようになってから、その性質は顕著になった。やっぱり、念を使うことでキャラクターの性格と密接に関連した特異な『環境』を作り出し、思考をしながらの戦闘が多くなるからね!

 漫画第34巻でかねてよりのヒソカの念願だった、クロロvsヒソカがついに実現した。ヒソカはクロロとタイマンはるために、ヨークシン編で一歩間違えれば旅団全員を敵にまわしかねないきわどい立ち居振る舞いを繰り返し、グリードアイランド編では除念師を見つけ、クロロと引き合わせた。

満を持して始まった天空闘技場でのクロロvsヒソカ戦は、ヒソカの敗北で終わった。さらに、同じ闘技場でのヒソカvsカストロ戦とは異なり、その戦闘の『種明かし』は行われずに次の王位継承者決定編に入ってしまった。

 二人の念戦闘は作中屈指の使い手同士の戦闘の名に恥じぬ、非常に興味深いのものだった。しかしいクロロが自身含め6人の念を使い分けながら、闘技場という特殊環境を利用して戦ったせいで、はたして彼は何を行い、どのようにしてヒソカを倒したのかすら、少年ジャンプを毎週読む程度では、さっぱりわからなかったのもまた事実である。

 事実、ネットで読者さんの考察を見ても、いろいろな意見が出ており、クモ団員や流星街長老との共闘説まで出ている状況のようだ。

 中学生のころからハンターハンターを読んでいるマンガ好きの身としては、この面白い戦闘、ぜひとも考察してみたい!というのが人情である。

  考えてみた。





 クロロは・・・


 ヒソカの圧倒的な体術と、触れると危ういバンジーガムを封じる手段として、大量のコピー人形による連続襲撃を選択した。ヒソカの強さとバンジーガムの厄介さは作中見てのとおりである。コピー人形の襲撃は、ヒソカから一定距離をとって戦えるため、極めて有効な手段だろう。

 コピー人形をギャラリーフェイクで具現化した状態で維持しておくには、栞での固定が必要になる。ギャラリーフェイクは両手があいてないと発動できないうえ、栞を抜き取ると能力解除とみなされ消えてしまうのだ。

 無論、ギャラリーフェイクは動かない人形の具現化しかできない。コピー人形に命令を与え、操作する必要がある。その手段としてオーダースタンプを発動しなければならない。スタンプはハンコの形状をしているため、ギャラリーフェイクに栞を挟んだ状態でオーダースタンプのページを開き、右手で本を持つことで、左手でハンコを押すことができる。すなわちギャラリーフェイクとの併用が可能である。

 さらにクロロは、ヒソカに勝利する筋書として、コピー人形の大量襲撃だけでは不十分と考えた。ヒソカの底知れぬ戦闘センスを考慮に入れるとその判断は正しい。

 とはいえ、オーダースタンプの押されたコピー人形は、それだけで一度発動すると、ほかの3つの能力と併用できないというジレンマが発生する。これは次のように理解される。



 何度も言うが、クロロはコピー人形だけでヒソカに勝てるとは考えていなかった。そのためサンアンドムーンやブラックボイス、コンバートハンズの使用が必要と考えた。一度発動するとほかの能力が使えなくなるコピー人形は都合が悪い。他の能力発動のためには、コンバートハンズかギャラリーフェイクの解除が必要になり、これを行うとせっかく作ったコピー人形が消えるか動かなくなってしまう。

 ではどうするか?クロロはサンアンドムーンの特殊効果を利用した。

  ①サンアンドムーンの刻印は、プラスだけなら片手でも押すことができる。


  ②刻印は、死後強まる念として、絶対に消えない。


 サンアンドムーンは基本的に両手をつかう能力である。このため基本的には栞をはさんで両手をあけた状態でなければ能力を100%発揮できない。しかし①はギャラリーフェイクとサンアンドムーンの併用が可能ということを示唆している。無論、能力は制限される。サンアンドムーンはプラスの刻印とマイナスの刻印を押し、合わせないと爆発しないが、栞をギャラリーフェイクに挟んでいる場合に、サンアンドムーンを発動して右手をあけることは不可能であり、左手のプラスの刻印しか押すことができない。この結果、刻印を押した相手を爆破させることはできない。

 では、サンアンドムーンを使うことは無意味なのか?

  否!


 まずは栞でギャラリーフェイクを固定しコピー人形を作成してから、サンアンドムーンのページを開く能力発動!本を持っていない左手でコピー人形にプラスの刻印を押す!ここでページをオーダースタンプに移動すると、通常であればプラスの刻印もサンアンドムーン解除とみなされ一緒に消えるが、死後強まる念によって、能力を解除した後でも刻印は消えない!(流星街の長老は死んでいる!)図にすると次のような状況である。



 ここまでは、死後強まる念について知っている者であればだれもが思いつくだろう。しかしサンアンドムーンの死後強まる念は想像を上回っていた。流星街長老と呼ばれた人物の強い残留思念は、ギャラリーフェイクの栞を抜き取り、オーダースタンプのページも閉じて両方の能力を解除しても、プロテクト効果を発動し、なんでも命令を聞くコピー人形の消えることを許さなかった!



 これは、人間を人形程度にしか考えず、対象に復讐(爆発)するまでは決して逃げることを許さなかった流星街長老の特異な思考パターンが生んだ結果なのかもしれない。(※)

 死後強まる念の効果を利用することで、団長はオーダースタンプの押された頭部を切り離されない限り、決して動くことをやめないコピー人形を大量に生成することに成功した!しかも、この状態で、ほかの好きな能力を別途発動することが可能というチート効果付きである!

 戦闘開始の直後、クロロはスキルハンターを発動し、シャルナークの操作系能力と、サンアンドムーンを見せつけることで、ヒソカに距離をとらせることに成功する。(クロロが恐れたのは、ヒソカが戦闘開始の直後に無理やりにでもバンジーガムをつけられることである(※))



 そのうえで、本を持たずにサンアンドムーンを発動させたことを印象付け、能力解説も連発しヒソカを誘導!

 クロロにとって、これは彼自身が言った『戦闘のスタイル』という意味合いよりも、ヒソカの思考誘導という意味合いが強かった。(※)

 ヒソカがただの殺人狂ではなく、戦闘狂であるという性格を利用した。あえて自身の特異分野である思考戦闘に持ち込むことで、なりふり構わないヒソカの猛進によるバンジー付着行為を抑制した。ヒソカもこの点は了承している。クロロに準備した手札をすべて出させたうえで、戦闘することを優先したからである。(※)

5つすべての能力と、自身の栞についての説明の後、クロロは大量のコピー人形による戦闘に切り替えるため、ブラックボイスとコンバートハンズを用いて潜伏を開始した。自身の姿を変えて移動し、同時にアンテナを用いた人間の操作でヒソカの目くらましをし、服装を変えたあとコンバートハンズは解除し潜伏する。

 ここまでのストーリーはヒソカの想定通りである。確かにクロロは服装を変え、コンバートハンズも解除したまま、潜伏をしていた。

 クロロは直後、ギャラリーフェイクを栞で固定したままコピー人形を作成し、ある程度生産したら、サンアンドムーンのページを開いてプラスの刻印を押して、人形が消えるのをプロテクトしていく。ヒソカを攪乱できる個体数、人形を作成したら、今度はオーダースタンプを押し、なんでも命令を聞くコピー人形の発動に成功した。この人形はクロロが本を閉じても、栞を解除しても消えることはない!

 ヒソカはこの時点で、クロロがオーダースタンプのページを開いていると思い込んでいる。このため、クロロがほかの能力を使えるとは思っていない!

  ヒソカは・・・


 襲い掛かる大量の人間の頭部を切断し、オーラで覆うことで強度を増し、次々に人形を破壊しながら、遠くで戦闘の機会をうかがうクロロを攻撃する策にでる。この瞬間、クロロは勝利の準備が進んだことを確信する!

 クロロはサンアンドムーンのページに栞を挟み、両手をあけた状態で、ヒソカが切り取った頭部の持ち主の体に、右手で、マイナスの刻印を押すことに成功する。



 直後、クロロは再度潜伏をする。この際、当然サンアンドムーンの能力を解除しても、ヒソカが武器として使う頭部と連動した、胴体のマイナスの刻印は消えない。

 コンバートハンズに栞を挟み、右手を空けた状態で観客の一人を自分の姿に変え、再度本をブラックボイスのページを開き、姿を変えた観客にアンテナを刺し操作をすることでヒソカを誘導する。ヒソカはコンバートハンズやブラックボイスを使えると思っていないから、その人物は当然クロロだと思い込んで追撃。結果、クロロは自分の位置を完全に見失わせることに成功した。

 ヒソカはクロロの偽物を破壊することで、正体を暴き、自分の思ってもいない能力の使われ方がされていることに、初めて気づいた!

 しかし、これは逆にヒソカを冷静にさせる結果となった

 コピーした人形を、サンアンドムーンの死後強まる念の刻印により固定できることに気づき、結果、クロロ自身が戦闘中に作成できるコピー人形の上限が、予想以上に少ないことに気づく。(この時点で20~30体ほど)この程度の人数であれば、クロロを追い詰めることが可能だと判断!

 だが、直後に数100体のコピー人形がヒソカに突撃!クロロは再度、ヒソカの精神を揺さぶる!圧倒的な物量への対応を余儀なくされたヒソカは、受けて立つとばかりにコピー人形をつぶしにかかる。

 ヒソカの残りコピー人形がせいぜい数10体だったという推測は、あながち間違ってはいない。いくらクロロが念使いとして屈指のセンスを持っていようと、ヒソカの目を逃れて潜伏しながら、1秒あたりにヒソカの予想の10倍である10体を作成するのは不可能である。

 だが、それは、ヒソカと戦闘をしながらは、ということである。

  実際には、作ってあった!コピー人形を!戦闘が始まる前に!(※)




 あらかじめ作成してあったコピー人形が『ヒソカを壊せ』のアナウンスで一斉に動き出す。結果、ヒソカの余裕は皆無!

 同時に一体のコピー人形を追加で作成し、携帯電話を持たせ、直接音声で指示を出して、ヒソカが使う頭部に連動した体に付けたマイナスの刻印に、プラスの刻印を触れさせる!(別の人間同士に刻印したプラスとマイナスでも触れれば爆発反応は発生する。また、頭部が切り取られていても、体が爆発すれば頭部も一緒に爆発する!)(※)

 結果、ヒソカの左手が爆発!同時に保険としてつけていたバンジーも消滅。

 しかしヒソカのここからの立ち居振る舞いも常人離れしていた。数百人の問答無用で襲い掛かる人間を、次々と振り払いコピー人形を減らしていく。

 だがヒソカの善戦も、クロロにとっては新たな人形を作成する余裕を生んだに過ぎなかった。いつものようにプロテクトされたコピー人形を生成した後、さらにサンアンドムーンを栞で固定して追加で発動!プラス、マイナス両方の刻印がある人形作成に成功する。彼らにヒソカの近くで爆発するよう命令を下し、ヒソカを追い詰める。

 結果、ヒソカ敗北!






 クロロは複雑な操作が可能なコンバートハンズとブラックボイスの組み合わせを、自分がヒソカから姿をくらます目的だけに利用し、一度命令を下せば猪突猛進するギャラリーフェイクとオーダースタンプの組み合わせを、ヒソカを追い詰める物量攻撃に利用した。

 ヒソカは、確信する。クロロの強さは、能力を無償で提供する団員との、強固な団結にあるということを!団員を殺され、手足の亡くなったクロロがどのような表情で自分との決闘(デート)に終止符を打つかを!

 ヒソカは失った足をゴムに置き換えることで、異常な瞬発力を獲得し、ヒソカvsクロロの戦闘が終わり安心しきっていたシャルナークとコルトピを襲撃した。シャルナークとコルトピは絶命!いまだクロロはそのことを知らない。さらなる強さを手に入れたヒソカにこうご期待!という感じでしょうか。

 異常なコピー人形数や、複数の能力を簡単に実現する圧倒的なクロロの念容量、糸によるアンテナの回収が不自然とされ、ネットでは団員の共闘説の根拠となっているよう。大量のコピー人形⇒コルトピに能力を返却後、コルトピが作成しまくっていた、糸によるアンテナ回収⇒マチが裏で回収し、団長に渡していた、という感じのようだ。異常なコピー人形数については、事前にコピー作成済みだった、念容量は死後強まる念が補助した、アンテナ回収は別にマチじゃなくても糸つけておけば本当に回収可能、というのがわたしの考えである。

 というか、クロロにはヒソカとタイマンで戦闘していてほしいという願望も混じっている。ヒソカの独り相撲だった場合、あまりにかわいそうだからなあ。(ヒソカ推しなので)

 面白い案を皆さんも考察してみてください!

 ※箇所:わたしの妄想になりますご注意を。






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